パテ処理の工程(1回目→乾燥→2回目→研磨)の正しい流れ
新築住宅の内装仕上げで欠かせない「パテ処理」は、壁や天井の下地処理の最重要ステップです。特に石膏ボードの継ぎ目やビス穴を丁寧に埋め、平滑な下地を作ることは、クロス(壁紙)の仕上がりや耐久性に直結します。そのため、パテの工程を正しく踏むことが、内装全体の品質を左右します。
パテ処理は以下の4つのステップで構成されます。
(パテ処理の基本工程)
工程 |
作業内容 |
ポイント |
1回目のパテ |
ビス穴、ボード継ぎ目を埋める |
下地調整用の硬めのパテを使用 |
乾燥 |
完全乾燥を待つ |
湿度・温度管理で乾燥ムラ防止 |
2回目のパテ |
さらに平滑に均す |
仕上げ用の柔らかいパテを使用 |
研磨 |
ヤスリで表面を整える |
番手の違う紙やすりを使い分け |
一度目のパテは「下地パテ」と呼ばれ、石膏ボードの隙間やビス穴をしっかりと埋めることが目的です。ボードの目地部分には、専用のファイバーテープやジョイントテープを貼ってからパテを施工することで、ひび割れのリスクを抑えることができます。
乾燥は非常に重要な工程で、乾ききる前に次の作業をしてしまうと、表面がひび割れたり剥がれやすくなったりします。施工業者の多くは、季節や現場の湿度に応じて乾燥時間を見極めており、梅雨や冬季は特に注意が必要です。
二度目のパテでは、表面の微細な凹凸や段差を取り除きます。ここで使用されるパテは柔らかく、ヘラやベラで滑らかに仕上げる必要があります。最終的にサンドペーパーや電動サンダーで研磨し、クロス貼りに最適な「平滑面」を整えます。
施工前に準備すべき道具一覧と選び方(ベラ・ヤスリ・プライマー)
パテ処理を行うにあたっては、道具の選び方も成功の鍵です。特にパテを塗る「ベラ(ヘラ)」や、パテの密着力を高める「プライマー」、そして仕上げの「ヤスリ」選びは、施工精度に大きな影響を与えます。
(パテ処理に必要な基本道具)
道具名 |
推奨用途 |
特徴 |
ベラ(ヘラ) |
パテを塗る |
幅・しなり具合の異なる複数本が必要 |
ヤスリ(サンドペーパー) |
パテの研磨 |
番手(粗さ)を使い分ける |
プライマー |
密着性向上 |
下地の吸収を抑えパテの剥がれを防ぐ |
マスキングテープ |
養生作業 |
周囲の汚れ防止に必須 |
パテ板 |
パテを置く板 |
作業効率を高める |
ベラは幅が異なるものを数種類用意すると便利で、狭い箇所や広い面など場所によって使い分けます。金属製のしなりがあるタイプは仕上がりがきれいになる傾向があります。
プライマーはパテの密着を高める下地材で、特に吸水性の高い石膏ボードにおいては必要不可欠です。プライマーを塗ることで、パテの乾燥ムラや剥離のリスクを大幅に軽減できます。
ヤスリは番手(数字で示される粗さ)によって使い分けが必要で、粗い番手(#80〜#120)は荒削りに、細かい番手(#240〜)は最終仕上げに適しています。
このように、道具を正しく揃えることが、パテ処理の仕上がりと作業効率の両面において大きな違いを生むのです。
隙間の種類別パテの使い分け方(排水管・壁・天井・窓枠)
隙間の位置や素材によって、使用すべきパテの種類や施工方法は異なります。新築住宅では、見た目の美しさだけでなく、機能性や長期的な耐久性も求められるため、適切な使い分けが重要です。
まずは、代表的な隙間別に適したパテの種類と用途を整理してみましょう。
隙間の部位 |
推奨パテの種類 |
使用目的と特徴 |
排水管まわり |
防水性のある弾性パテ |
水漏れ防止・カビ防止に有効 |
壁の継ぎ目 |
石膏ボード用パテ |
面のフラット化、クロス仕上げの下地処理 |
天井の角・ジョイント部 |
高粘度パテ |
重力に逆らって施工できる硬めの仕様が最適 |
窓枠のすきま |
収縮しにくいパテ |
経年による割れ防止、気密性の向上 |
コンクリートとの接合部 |
エポキシ系や高強度パテ |
ひび割れ抑止や補強目的に活用 |
排水管まわりでは「排水管 パテ 意味ない」といったネガティブな意見も見られますが、適切なパテを選定・使用すれば防臭・防水の効果は明確です。特にシリコン系やエポキシ系のパテは水まわりに強く、長期間の密着性が期待できます。
壁の継ぎ目には、石膏ボード用のパテが定番。施工の際にはテープを併用することで、亀裂や剥がれを防止し、表面の平滑性を確保します。
天井部分は重力の影響でパテが垂れやすいため、粘度の高いものを選ぶことが肝心です。塗り厚を分けて二度に分けて施工するのがベストプラクティスとされています。
窓枠やサッシの周囲には、柔軟性と収縮耐性を兼ね備えたパテが推奨されます。経年変化でできる隙間にも追従でき、冷気や虫の侵入防止にも効果があります。
また、コンクリートとの接合部では強度を重視し、硬化後も弾性が残るパテを選ぶのが基本。しっかりと硬化し、構造的な一体感を保つことで耐震性の向上にも寄与します。